朝日新聞社は記者活動の指針とする行動基準を改定しました。元記者と検察幹部との賭けマージャン発覚を契機に、見直しを進めていました。改定後の基準は本社コーポレートサイトで全文を公表します。
賭けマージャン問題では権力取材の在り方そのものに批判が寄せられたことから、取材先との距離の取り方などを再考しました。
記者の基本姿勢として当初から「独立性」「中立性」は掲げていましたが、「取材先と一体化することがあってはならず、常に批判精神を忘れてはいけない」と明記しました。
また「取材先との付き合い」について、会食などに関する注意に加え、「取材先の信頼を得ることは必要」としたうえで、読者から記者の「中立性」や報道の「公正さ」に疑念を持たれることがあってはならないと掲げました。
さらに取材活動の可視化を求める声の高まりを受け、守るべき情報源の秘匿は今後も当然、守り続けるとする一方、「読者への説明」の項目に「どういう取材のもとに得られた情報か、読者に説明できるように努めなければいけない」と補いました。
閉鎖的だとして批判がある記者クラブや、当局に対するオフレコ取材の在り方などについても「安易なオフレコを前提とした取材は、国民の知る権利を制約する結果を招くことを自覚する」などと記しました。
賭けマージャン問題は記者職を離れた社員がかかわったものでしたが、報道の公正さに対する疑念を招きました。このため、記者行動基準に記された理念は、「朝日新聞社のすべての社員が共有する」と記すことにしました。
行動基準は記者が自律的に活動するためのものとして2006年に制定、過去5回改定しています。
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記者行動基準の全文は次のリンクからご覧いただけます。
https://www.asahi.com/corporate/guide/outline/11214445#asahi
岡本順・朝日新聞社執行役員コンプライアンス担当のコメント
本社員が加わっていた賭けマージャンで、検察審査会で示された市民の意見を踏まえて検察当局が黒川氏を略式起訴したことを重く受け止め、改めておわびします。「権力との癒着ではないか」といったご批判を受け、記者活動の延長で起きた報道倫理が問われる問題と受け止めて「記者行動基準」を改定し、取材先との距離の置き方などを明記しました。その理念を全社員で共有し、コンプライアンス意識の徹底を図ります。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル